元勇者の冒険の書

そろそろ冒険に出たいけど、町人に甘んじている元勇者の冒険の書です。

漆黒のヴィランズ メインクエスト『ユールモア見学』

アルフィノ : ……それでは、君は街の中を見学してくるといい。
ありのままを……くまなくね。

アルフィノ : まずは、この「樹梢の層」を……
中でも人の集う、商店の周りを見てみるのはどうかな。
積極的に声もかけて、ユールモアのことを学ぶんだ。

アルフィノ : ひととおり見学がおわったら、ここに戻ってきてほしい。
……頼んだよ、Clo。

ドゥリア・チャイ : さあ、好きに街を見ていらっしゃい。
外周の「スカイフロント」は、ちょっと狭いから、
落ちないようにだけ、気をつけるのよ。

チャイ・ヌズ : うちの妻がいいと言うんだから、お前は好きに見学してこい。
ただし、浮かれすぎて、騒動なんぞを起こすなよ。
品のない行動も、慎むように!

たおやかな自由市民 : あら……?
見慣れないお顔だけれど、
もしかして新しくいらっしゃった方かしら?

たおやかな自由市民 : はじめまして、これからよろしくね。
……ところであなた、うちの使用人を見かけなかったかしら?
髪を束ねた、屈強な男の人よ。

たおやかな自由市民 : 一緒にお買い物をしていたのだけれど、
私ったら、途中でハンカチを落としたことに気づいたの。
彼が探してきてくれるというから、待っているのだけれど……。

たおやかな自由市民 : やっぱり、ひとりで待つなんて心細いわ。
もしそれらしき人を見かけたら、
ハンカチはいいから戻ってきてと伝えてもらえるかしら?

屈強な労役市民 : た、助かった……!

屈強な労役市民 : 本当に、ありがとうございます。
あなたが通り掛からなかったら、どうなっていたことか。

屈強な労役市民 : 実は、大事な奥様のハンカチが、
風に飛ばされたのか、手すりの外側に引っかかっていて……
どうにか回収したものの、足を滑らせてしまったのです。

>たかだかハンカチでは?

屈強な労役市民 : とんでもない!
奥様の……主のものであれば、なんだって大事な宝です。

屈強な労役市民 : それを失くしてしまうことで、奥様が一瞬でも悲しむなら、
私は何をしてでも、このハンカチを回収するでしょう。

屈強な労役市民 : ……私は最初、少し楽な暮らしがしたいという浅はかな理由で、
この街に入ってきました。

屈強な労役市民 : しかし、ユールモアにあったのは富だけではなかった。
ここにはいかなる争いも持ち込まれず、
住民は互いを慈しみあっている……。

屈強な労役市民 : 奥様も、私に大変よくしてくださっています。
この時代に、こんな幸福な場所は、ほかにありません!

屈強な労役市民 : ……って、ちょっと熱く語りすぎましたね。
ごめんなさい、本当に幸せなもので、つい……。

屈強な労役市民 : よければ、助けてくださったあなたのことを、
奥様に紹介させてください。
きっと、優しくねぎらってくださいます。

屈強な労役市民 : えっ……!?
奥様が寂しがっていたので、私を探してくださったと!?

屈強な労役市民 : ああ、なんという……!
急いで、ともに奥様のもとへ戻りましょう!

たおやかな自由市民 : 話は聞いたわ。
うちの使用人を助けてくださって、本当にありがとう。

>あなたは素晴らしい主だそうで…?

たおやかな自由市民 : あらあら、私なんてちっとも特別じゃないのよ。
労役市民たちのおかげで、日々暮らせるのだもの。
私たち自由市民はみんな、感謝しながら彼らに接しているわ。

たおやかな自由市民 : 外では、身分が違うと偏見や対立も起こるのでしょうけど……
この街では、そんな寂しいことにならないように、
素晴らしい施策が行われているの。

たおやかな自由市民 : そのうちのひとつが、自由市民の財産放棄ね。
市民として登録される際に、個人の財産……
お金や利権、知識なんかを街に譲渡するの。

たおやかな自由市民 : 代わりに、何不自由なく暮らせるくらいの金銭や物資が、
街から支給されるようになるわ。

たおやかな自由市民 : そうすることで、お金をやりくりする不安や、
他人と優劣をつけることから解放される。
もう、誰も傷つけあうことはないわ。

たおやかな自由市民 : ……それじゃあ、私は彼と買い物の続きを楽しもうかしら。
ハンカチのお礼に、何かプレゼントしなくてはね。
伝言を頼まれてくれたあなたにも……はい!